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事件から一夜明け、所変わって昼下がりの児童公園の駐車場に一台のトラック牽引式のタイヤキ屋台が停まってある。
その屋台でタイヤキを売る一人の男がいた。
「毎度あり~」
男の名は矢車弾、タイヤキ屋台『タイヤキだんちゃん』の店主である。
しかしこの姿は世を忍ぶ仮の姿、このタイヤキを焼くしがない男こそ昨夜米兵崩れの強盗団を蹴散らした忍者の『頭』である。
屋台に備えたラジオからは昨夜の事件のニュースが流れている。
その内容は強盗団は米兵崩れであったが仲間割れし、全員死亡したと報じられた。
「司令官殿は約束を守った様だな」
弾はラジオを聞きながらポツリと呟くと「あれで約束を破れば泣きを見るのは司令官ですからね頭」と言いながら若い男が冷蔵庫からタイヤキ生地を運びながら現れた。
「天童、あまり人前で我等の行動を言うもんじゃない…」
「頭すみません、しかしホントに上手く行きましたね」
「これまでの部下の不祥事を見過ごした司令官殿が自ら撒いた種…後の始末をやってもらわねばな」
二人の会話をよそに、ラジオからは昨夜横須賀基地司令官の開いた緊急記者会見内容を淡々と流していた。
ここで時系列を廃墟での出来事の後に戻してみよう…
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