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黒装束の男はビュン刀を振るい刃に付着した血糊を落とすと後から「頭(カシラ)ぁ」と呼ぶ声がする
振り返ると別の黒装束の男がトラックの荷台に四人の屍を入れたボディーバックを梱包段ボールに詰め「こっちはいつでもオッケーだ」と手を振っている
「御苦労だ犬丸、後は我等が屍を基地に運び込み天童があの婦警と宝石を届けて仕上げるまでだ」
犬丸と呼ばれた初老の男が忍び装束からトラッカーの装いに瞬時に変わり運送席に座ると、トラックの隣にMPと書かれた軍用ジープが横付けする。
「頭お待たせしました」
運転席から若い男が現れると装いを米軍基地MPの装いになり、肌色の粘液を顔に塗り付けちょいちょいと箆を当てると顔が東洋系の顔から白人の顔になり始めた。
この粘液こそ忍の変装秘薬である。
「後は体格だな」
白人の顔になった男は息をゆっくり吸い込み「ぬん」と力を込めると、筋肉に力が加わりみるみるガッチリとした体格に変貌した
「いつ見ても天童の変装術は凄いですね頭」
「天童の変装術は我等の中では随一…」
二人の会話を余所に天童は己の喉に指を当てグリグリと動かし声帯を弄り変声させ、目にカラーコンタクトを付けほぼ完璧な白人男性へ化けていた。
「我等の準備は整った、後はこの婦警の記憶操作のみだ、あげ羽、首尾はどうだ」
頭の問い掛けに忍装束の娘は「頭、丁度この娘に暗示をかけ終わったわ」笑顔で応えた。
麻美は白煙弾の着弾と同時に頭の当て身により気絶し、あげ羽と呼ばれたクノイチに安全圏に運ばれ暗示による記憶操作を受けていたのだ。
「頭、これより処理班の事後処理作業入ります…この作戦の締め括りと行きましょうや」
「よし…犬丸・天童車を出せ、天童は婦警を連れ警察署に行け…あげ羽は処理班の事後処理終了後に撤収するように…各員ぬかるなよ」
あげ羽が見守る中、トラックとジープは廃墟を後にし二手へ別れ消えていった…
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