サヨナラ

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告別式が、 終る。 泣いていないのは、 俺とイズミだけだった。 ユウカを乗せた黒い車が、 行ってしまう時に、 「サヨナラ」 と小さく、 呟いてみた。 でも、 俺の心には、 何も起きなかった。 悲しいとは感じなかった。 ただ…、 すごく、寒いと感じた。 体が、冷たくて、 立ってられなくなった。 フラフラとして蹲る。 そんな、 俺を見てか、 すすり泣く声が、 高まった。 それでも、 俺の心は、 沈黙し続けた。 ユウカ…、 どうしたらいいのか、 わからない…。 そこから、 記憶が、途切れた。 何かを、 考えていた様な気もするし、 何も、 考えていなかった気もする。 一つだけ ハッキリと感じたのは 泣きたいとは 思わなかった事。
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