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情報屋に必要な情報をデバイスに送る様に頼んで、錆び付いた扉を閉じ、セキュリティのモードを帰宅に切り替えて机にアタッシュケースを置き、開ける。
そこから金属の棒を一本取り出すなり、乱暴にスイッチを入れた。
ホログラムのページが現れ文字が流れて行く。
これは現代の本である。
これがあれば、少女失踪事件の現場にあったような本棚なんて必要ない。
ホログラムの最初のページ、幾つかあるはずのタイトルには[道化の杖]とだけ表示されていた。
エレイドは見もせずに素早くそれに触れると、文字が再び流れて行く、そして止まる。
道化の杖の内容に入ったのだ。
冒頭はこんな切り出しだ。
『悪魔ハエルは、人間達の楽しそうに生きてく姿を、寂しい気持ちで地獄の片隅から見守っていた。
人間がうらやましかったのだ。
地獄と違って、毎日が溢れるほど眩しい彼らが妬ましくもあった。
悪魔ハエルは思い付いた。
人間達を奴隷とし、意のままにしてやろうと。
悪魔ハエルは人間界の王になりたいあまり、女神の目を盗んで、人間界に下った。……』
その後は女神の魔法で汚い錆びた金属の杖にされ、旅人に拾われて、ボロ杖だと投げ捨てられ、用水路に落ちた事。
用水路の管理人がそれを拾って、釜戸の薪をつつく道具にしたこと。そして…
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