情報と罠

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……持ち主は驚き、しかし杖を手放そうとはしなかった。』 ……ここまで読んでエレイドは本を閉じた。 モジュールの電子音に邪魔されたからだ。 「エレイド!大変だっ東亞アームズ工業にすぐ来てくれ!」 「どうした?勝島落ち着け」 通話ボタンを押した瞬間、勝島が息を荒くして怒鳴ってきた。 落ち着くように言ったが、その勢いは収まる事はなかった。 「警視庁のデータベースが次々ダウンしている!いや…警視庁だけじゃない。どうやらサイバーテロらしい。東亞ファクトリーの発電所は警備も管理もイカれている。エネルギー炉が危険だ!早く来てくれ!」 情報屋が本に書かれた内容をいつでも確認出来るようこの本に写したのだが… それどころではないらしい。 「……発電所だな!すぐに行く!」 「別のエネルギー炉には別動隊を派遣済みだ。急いでくれ」 その頃にはエレイドは上着を持って家を飛び出し、デバイスを乱暴にポケットに突っ込んだ。 ガレージの自家用フライヤーに飛び乗って、電源を入れて動力が稼働したのを確認し、飛び上がり、ポケットから取り出したデバイスをフライヤーに繋いだ。 「わかっているだろうが、東亞は少女宅の近くだ。……あの巨大な工場だ。エネルギー炉が臨界点を突破し、崩壊すれば、あの辺り一帯は消し飛ぶ程の大惨事になる!」
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