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視界が白くぼやけ始めた。
そして星屑の白い線が飛んできて視界を過ぎていき、徐々に増えてく。
シャワーのように見えた。
「くそっ…また雨だ…」
ウィンドウを調整して、視界を確保する。
速度のメーターは783キロを表示していた。
「エレイド、状況を説明する。停電により、建物は閉鎖されている。よってエネルギー炉のある地下の搬入路からしか、エネルギー炉非常電源室に入れない。外部からエネルギー炉のメインスイッチを切るんしかないんだ。…出来るよな」
荷が勝ちすぎる、こういうのは専門家に任せるべきだ。
という旨を伝えると、警察庁のサーバーダウンによりその手の関係者に連絡が取れず、民間の通話回線を使用せざるをえなかったと返答がきた。
他に友人は居ないのかと言ってやると、担当の事件現場がなくなっては困るだろうと言われた。
「東亞アームズ工業…サイバーテロ…一連の行方不明、通り魔事件。…いったいこの国はどうなったんだ?」
誰に言うでもなく、エレイドの呟きは雨を切り裂くフライヤーのエンジン音にかき消える。
代わりに、フライヤーの途切れ途切れなアナウンスがそれに答えた。
「速度調整システム、を、実行します。……目的地まで、残り3分」
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