高校生、水野圭介。

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皐月かおる。 俺と同じ16歳。 短めなショートカットと幼い顔立ちが愛らしい。 デビューしてから一年も経たないうちに大ブレイクし、今やミリオンセラーを連続で叩きだす国民的アイドルへと急成長を遂げた彼女は、世間ではシンデレラガールなんて呼ばれている。 因みに俺はデビュー当時の無名な頃から彼女のファンだ。 たまたま近くのCDショップで握手会のポスターを見かけて、それに載っていた彼女の顔が割とタイプで。好奇心から握手会に行ってみる事にした。 そしたらまぁ、見事に人がいなくて。それが原因なのだろうか、肝心の彼女も俯いていて。来なきゃよかったかな、とか思いつつも今更引き返すのも申し訳ないので、彼女の元へ向かう事にした。 (…泣いて、る?) 俯いている彼女の顔は前髪に隠れて見えにくいものの、涙でくしゃりと歪んでいるのがわかった。 俺が目の前に立つと、彼女は目を擦りながらすみません、と震える声で言った。 「折角、来てくれたのに…泣いてちゃ駄目ですよね」 そう言い終わると彼女は顔を上げ、俺を見た。 暫く泣いていたらしい、彼女の目はすっかり赤くなっている。 それでも懸命に笑顔を浮かべてくれる健気な姿が何とも愛おしくて。 「――――皐月かおるです。来てくれて、本当に…ありがとうございます」
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