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「わーっ、きれーい!」
目の前には燦々と降り注ぐ太陽。
空から零れ落ちてきたその光は、花々を輝かせ、土に吸収されている。
見上げれば、どこまでの広がる青い空。
清々しいくらいの晴天。
両手をかざしてみても、届きそうで届かない。
大きな大きな世界の真ん中。
白い雲が優しく青を包んでいる。
小さな女の子は手をかざすのをやめて、空に顔を上げたまま目を閉じた。
光を……大空を全身で感じるように。
それから、大きく深呼吸をした。
さあっと、初夏の風が少女の透けるような美しい水色の髪を撫でた。
ゆっくりと瞳を開けると、無垢な水色の瞳が大空を映して青く輝いていた。
「………神風」
少女は唇でそっと呟いた。鈴の音のように、高く明るい音色を奏でるように。
それから、赤いランドセルを背負い直し、首の後ろにぶら下がった黄色の帽子を被り直すと、駆け出して行った。
少女が立ち止まった場所に、空から白い羽根が一枚……降りてきていた。
その羽根は風に舞い上がり、やがて土の上、少女が居た場所に収まるように降り立った。
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