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ちりん…………
むぅ……と考えていると、今まで無音だった空間に澄んだ鈴の音が響く。
自分の服が擦れる以外の音に少し驚いてしまった。
鈴といえば…
スカートのポケットに手をあてると、お婆さんから貰った鈴に気付く。
取り出して、ちりんと鳴らしてみる。
綺麗な音に不覚にも癒されてしまう。
鈴厘の神様はいったい、何を与えてくれたのだろ?
与えられる前に奪われた気がするのは気のせいだろうか。
もう一度、ちりんと鳴らした。
ちりん、ちりん、ちりん。
「あれ?」
もう鳴らしていないのに鈴の音は鳴り続ける。それも複数の音。
反響しているのか?と思うが、ただならぬ予感がする。
バチンッ!!!
「!!」
何かが破裂したような大きな音して、驚いて思わずぎゅっと目を瞑る。
何が起こったかと考えを巡らす前に体に異変が起きた。
浮遊感が無くなり、どんっと背中に固い衝撃を受ける。
「いったぁ…」
何が起こったのだと思い恐る恐る、瞼を上げると見えた色に言葉を失ってしまった。
人生最後に見たはずの色。
私は茫然と澄みきった浅葱色の空を見続けた。
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