プロローグ

15/29
前へ
/452ページ
次へ
辺りに響き渡る妹とその友達の二人分の悲鳴。 俺はそれを聞きながらも全力で足を動かし続けた。 おそらくこのまま走り続けたとしてもギリギリ間に合わない。 それを悟った俺は今まで以上に足に力を込めて走った。 おそらく火事場の馬鹿力というのが働いたのだろう。 今までの約二倍に近い速度を出した俺はなんとか妹達のもとへと間に合った。 だがもう時間もない。 とっさの判断で二人を走った勢いを利用して後ろに吹き飛ばした俺は車の前に出てしまった。 自分の死を悟った俺は最後に妹の顔をみようと無理やり身体を反転した。 そして人生で最後に見たものは驚愕と恐怖に顔をそめている妹の顔だった──────
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11042人が本棚に入れています
本棚に追加