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初老の男性はそう言いながら懐から一枚のハンカチを取り出して自らの主に差し出した。
サリスも素直にそれを受け取ると先ほどまでとは別人のように上品に涙を拭き取った。
「ありがとな執事長。お前のおかげで少しは落ち着いたよ。」
初老の男性─執事長は主のいつも通りの姿を見て安心したのか、使用人の方へとさがっていった。
─それから10分程立っても産まれるはずの我が子の産声が聞こえず、さすがに遅いと思ったのかサリスは焦り始めていた。
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