勇帝の誓い(前編)

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「理解が早くて何よりだ。しかし、いざ計画が遂行される段階で、意見の食い違いが無いとも言い切れないのも確か。この場で、聞きたいことがあるなら何なりと尋ねてくれると有り難いのだが、どうかな?」 「いやいや、どうも計画の実行が間近ということで、年甲斐もなく興奮しておるようでしてなぁ。私の態度が気に障ったのなら申し訳ない」 「それは私とて同じことだよ。どうも待ちきれないのか、つい余計なことまで口走ってしまう。私の方こそ、どうか許してくれ」  渇いた笑い声が響き渡る。 「ここはお互い様としておきましょう……さて、では私はこれで」  笑顔のまま会釈をし、踵を返して立ち去ろうとするトルナード。  その背後に、ハザードは笑みを取り繕ったまま告げた。 「いつも気苦労を掛けてすまないね、トルナード。計画成就までもうすぐだ、お互い上手いことやろうじゃないか」  何もかも見透かしたような雰囲気を纏っていると感じられるのは、気のせいだろうか。 「ははは、そうですな…では」  トルナードもまた笑みを崩さないまま、その場を後にした。  その後ろ姿を完全に見送った後、ハザードは取り繕った表情を元に戻しながら、再び背後の制御装置に視線を戻した。 「そう、上手いことやろうじゃないか…もうすぐ、この宇宙を消し去る私の計画が成就するのだから、ね」  その一言の裏には、無表情に隠された不気味な感情が見え隠れしていたのである。
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