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お前に言われたくはない。無茶をするなという言葉を受けて、飛燕が口にした台詞である。
だが彼らを知る者は、揃ってこう考えたに違いない。どっちもどっちだ、と。
その言葉を証明するかのように、カラスを模した飛行形態で宇宙空間を駆け抜けていた飛燕は、隠密機兵の特徴とも言うべき隠密機動で、敵陣の真っ只中を突っ切っていた。
本人曰く、虎穴に入らずんば虎児を得ず、ということらしいが。単身で突出する辺り、確かに似た者同士であることは間違いないだろう。
とは言え、本人は決して認めないだろうが。
(おそらくは、あれがこの騒ぎの要、ということなのだろうな)
飛燕は視界の端に映る巨大な建造物を見ながら、呆れたようにため息を吐く。
それの外見的な特徴を上げるなら、まさしく”心臓”であった。それが途方も無く大きなスケールで再現され、宇宙空間を漂っているのである。
その周囲には10を越える輸送艦と、そこから展開された無数の機兵が護衛として展開していた。
(随分と大掛かりだな…まぁ、犯罪組織ハザードが関わっているとなれば、どの道ろくなものではあるまい)
中央に位置する装置が何であるのか。まずはそれを知ることが先決であると考えた飛燕は、瞬時に割り出した警備網の隙間を縫うように前進してく。
やがて大した障害も無く、その外壁に取り付いた。
(呆気ないな…罠か?)
隠密機動とは言え、流石に無用心すぎると考える飛燕。単に警備が杜撰であると考えるほど楽観的にもなれず、予測は悪い方へ立てておく。
しかしここまで突出した彼の頭に、撤退という選択肢が皆無な辺り、その性格を窺えるというものである。
(…要塞、というわけではないな。固定砲台にしては、砲台そのものがどこにも見当たらない。何らかの装置であると考えるべきだが…)
ざっと外観を見た飛燕は、その建造物の用途を考察する。と、その時である。
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