ボーイ・ミーツ・ガール

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「え~・・・つまり、2000年の王政復古は1868年の王政復古の大号令とは根本的に異なる方針によるもので・・・」 黒板に板書しながら生真面目に説明する、良い身なりをした四十近くの教師。 そして教師の言葉に耳をすませながら、ノートに必死に写す生徒たち。 腹の底から不快感が湧き上がる。当てつけに俺は右手のシャーペンがミシミシ軋む程の力で握り締めた。 「そして事実上2000年に"大日本帝国"を建国したのが前皇帝のニシヒト様。この方のおかげで我々と平民が分断されたわけです」 "平民"が悪意を込めた様に聞こえたのは俺だけじゃないだろう。周りの貴族共も薄笑いを浮かべてやがる。 殺したい。だけどこの場で全員殺しても逃げ切ることはできないだろうから仕方なく殺意を抑えてる。糞ッたれな貴族共と同じ様に板書を写す。 こんな生活にも慣れてしまった。ほんの少し前はあの銃声と爆発音が鳴り響く荒れた戦場にいたっていうのに。 今じゃレジスタンス第一部隊隊長アサクラ ヨシキではなく、帝華学園二年A組朝倉芳樹だ。
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