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「遅いですよ隊長」
扉を開けると聞き慣れた声が待ち構えていた。
「お前らが早すぎんだよ」
俺だって授業終わって速攻来たんだぞ、と言ってみるも俺のクラスが一番屋上から遠いから本当に仕方ない。
「そうよカズマ。ヨシキはA組なんだから仕方ないでしょう!文句ばっか言ってっとぶっ殺すわよ!」
「ご、ごめんなさい」
俺を凄い勢いで擁護するミズキにカズマが冷や汗を流しながら謝る。
「で、カズマ。今日の報告は?」
ミズキは報告に興味なさそうにフェンスに寄りかかった。
「はい隊長」
こいつは仕事に真面目で本当に助かる。見ろ、ミズキなんてあっちで欠伸してるぜ。
「今日のところも学園側に不穏な動きは見られません。我々の潜入は感づかれていないものと思われます。また、―――」
学園に潜入して1ヶ月弱。未だに大きな行動も起こしてないしこれじゃ普通の学園生活を過ごしてるのと変わらない。
(アイツの意図が全く掴めない・・・)
指示があるまで現状維持とは言ったものの、そろそろ飽きてきたな。
カズマの報告を右から左へ受け流しながら、フェンスに寄りかかって学園所有の薔薇園を眺めた。
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