ボーイ・ミーツ・ガール

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キーンコーンカーンコーン 録音された鐘の音が授業の終わり、そして放課後の始まりを告げる。 俺は素早く帰る準備をし、あちこちからかけられる誘いの言葉を断りつつ学校を後にした。 帝華学園。国が貴族共の投資をもとに設立した所謂"貴国学校"の一つだ。生徒は無論奴らの子女の寄せ集めで、平民には通う学校などはありもしない。 平民なんて体の良い戯れ言だ。意味するのはすなわち"奴隷"。そんな所だろう。 学園の外は相も変わらず賑やかだった。大通りには高級車がわんさか走り回っているし、建ち並ぶ高層ビルも景気が良い証拠だ。 "奴隷"の人権も減った暮れもない重労働のおかげで。 二十分ほど歩いた所で、ようやくポイントに辿り着いた。ポイントと言ってもアジトまでの通過点に過ぎないが。 歩きながら不審のないよう二人を確認する。ミズキは通りを挟んだカフェのオープンテラスに・・・って、ナンパされてるし。 「ハァ・・・」 カズマは確か本屋の・・・って、こいつもかよ・・・。貴族もやることは庶民と変わらないんだな。都合の良い連中だ。 まぁ、二人ともナンパされた程度でこちらに気付かない様な無能じゃない。
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