恋のキューピッド、来襲

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大声を出そうとしたが、無意識的に(部屋がテラスと化している分余計に)近所迷惑を意識してしまった小庶民な俺は常識の範囲内で叫んだ。 しかしこれは本当にしゃれにならない。だってついさっき、まだ厳冬期クラスの寒さだって言ったじゃん。 ただでさえ、部屋のなかにいても暖房つけなきゃ二度寝を避けられない寒さだというのに、お前…。 だってゲントウだぜ?なんか超強そうじゃね?ATフィールドとか使えそうじゃね? あまりの寒さにまともな思考ができなくなってしまった俺。 しかし想像してみてほしい。 推定5℃の気温を、勇敢にもテラスで相手取る(来月から)高校二年生のパジャマ姿の青年を。 身も心も頭も文字通り冷静になってきた俺は改めて部屋を見渡す。 よく見れば四方の部屋の壁は波打っている。すなわち壁が上から10分の9ほど引きちぎられているような感じだ。 こんな非人道的なこと一体誰が…。
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