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ー朝、目が覚める。
そこまでは、嫌みな位いつもと同じだった。
僕、清原綾斗のいつも通りのつまらない日常が始まる筈だったのに。
「…あ、れ…?」
目を開けばいつもの小汚い天井じゃない。ただただ、突き抜けるような真っ黒な空が広がっていた。
僕はゆっくり起き出して、自分がどこに居るのか確認しようと顔をあげたその刹那、自分を抱くように腕を掴み前に屈む。
「…さ、寒い」
唐突な寒さが僕を襲う。
地面に倒されていた時は寒さなんて微塵も感じなかったのに。
ー此処が全くもって何処かわからない。
けれど、今はそれを確認するよりこの寒さをどうにか出来ないかを考えるのが賢明かもしれない。ー
僕はそう考えて、息を白く濁らせながら、どこかに寒さを凌げる場所はないかとあたりを見渡す。
……何もない。
今僕はちゃんと目を開いているかを疑ってしまう程、辺りは真っ黒で何も見つからない。
唯一僕の周りだけぼんやりと白く光ってはいたにも関わらず、本当に周りは見えなかった。
僕は眉をしかめる。
一気に憂鬱な感情が雪崩れ込んで、どうして僕がこんな目にあうのかと苛立つ。
「ああ、此処は一体何処なんだ!」
声を荒げて真っ直ぐ、見えない黒い果てを睨みつけた。
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