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「コッチダヨ バカ!」
「オイ、聞コエテルンダロ!」
今度ははっきりと。
手に持つ人形を見ると口元がパクパクと開閉している。
驚き、目を丸くして声も出ない僕に、人形は追撃するような厳しい口調で言う。
「オマエ 人間ダヨナ? ナンデ此処ニイルンダ?」
むしろ、僕が聞きたいような事を言う。
眉をしかめ普通の人形じゃないそれにうっすら嫌悪感を抱きながら僕は口を開いた。
「そんなこと、僕が聞きたいよ」
ハァッとわざとらしく溜息を吐きながら言う。
人形は「ハハーァン…」なんて小さく呟けば、あっという間に僕の手から抜け出して地面に立つ。
くるっと振り向いた人形はその無表情な赤い目で僕を見つめた。
気持ち悪さと恐怖で僕の顔は嫌悪に歪む。その様子を見た人形はまた厳しい口調で言い放つ。
「オマエ、死ンダノカ?」
「死ンダナラ、私ハアイツノ所ヘ連レテ行カナキャイケナイカラナ」
ー死んだ?僕が?
そんな筈は無いと僕は首を振る。
でも人形は記憶違いだろと言わんばかりに僕のジャージの裾を引き歩き出す。
振り払いたいのに、吃驚する程この人形は力が強い。
引きずられるように僕は人形の後ろを歩き出す。
その間も、僕は死んだ筈はないと否定をし続けた。
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