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すると、エリスさんは笑みを深くして言い放つ。
「無理よ」
『無理』……。
『無理』……。
『無理』……。
非情な言葉が脳内で幾度もリフレインする。
「そんな!」
「門前払い乙ってヤツだな」
あまりのことにその場に崩れ落ちると、エリスさんはちらちらと周りに警戒するような目を向けてから、そっと囁く。
「実は――――」
「――ああ、無理ってそういうことですか。よかった。あんなことしたから出禁にされたかと思いました」
「あんなことってどれのことだ? しかし、本当にろくでもねえな……。よくあんたらも従ってられるよ……」
「だからこそのアルケイン様よ。くれぐれも、ネフィリム陛下にはこのことを内密に、ね?」
いたずらっ子のような仕草で念を押すエリスさんに、私は敬礼して返事をする。
「了解しました。お役目ご苦労様です」
「不死部隊は物分かりの良い人ばかりで助かるわ」
「悪乗りが過ぎる人ばかりの間違いじゃねえの?」
「あ、これよかったらどうぞ」
「あら、手紙?」
「ちょっとした催し事の案内です」
「ふーん? 頂いておくわ」
「ありがとうございます」
「……だから無視すんなよ!」
こうして私達はエリスさんと別れ、一路ヤムル平原へと進路を取っ――
「――って、待てや。ボンクラ召喚士」
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