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悲鳴をあげると同時、私は背後から声をかけてきた人物に向かい、人間ができる最大限の謝罪の姿勢を取った。
つまり、土下座である。
「えぇっ? あの――」
背後から声をかけてきた人物は困惑したような様子だったが、それを気にしている余裕はない。ネクロスで丁寧語を話す人物に一人しか思い当たる人物しかいなかったし、その思い当たる人物は一見どんなに穏やかそうに見えても、葡萄畑に損害を与えられたと知れば、どんなに怒っていることか……。
「ごめんなさいアルケイン閣下ごめんなさいすみません申し訳ありません本当まじでごめんなさい! ちょっと遊んでたら、うっかりドラゴンくんがやっちゃって! でででもわざとじゃないんですよ本当に! ただの事故! ニアミスで!」
「は、はぁ……?」
「次からは二度とこんなことさせませんからっ! よく言い聞かせておきますんで、だからズバコロだけは勘弁してやって下さいましぃぃぃ!!」
半狂乱になって謝罪の意を伝えていると、隣から再び尾で力一杯叩かれる。
最大限の謝罪の姿勢を崩す訳にもいかず、そのままの姿勢で抗議すれば、三度尾が叩きつけられた。
「テメェ、さりげなく全部オレのせいみたく報告すんなよ」
「焼いたのは君じゃないか」
「その原因が胸はってんじゃねえよ!」
「――――プフッ」
ぎゃんぎゃんとした言い合いが始まりかけると、頭の上から何やら小さく噴き出したような音が聞こえた。
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