お笑い好きな召喚士の話

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我らが親愛なる帝王ネフィリム・ニーベルエンドは、聞くところによるとある悩みを抱えているらしい。 その悩みとは――正直、信じ難いことなのだが――ネフィリム陛下はご自分には人望がないと思われているということだった。 確かに、今まで敵対していたルスランもアザルトも我々ネクロスが滅ぼした。しかし、それによって両国の民草から反感を買ってしまったり、両国のしぶとく生き残った将軍達が率いる反乱軍の鎮圧に手を焼くのは仕方ないにしても「自分に人望がない」とまで思われるだろうか? 私の思うネフィリム陛下ならば、無駄にキリリとよい表情をなさって 「今やこのオルガ大陸全土を統べる余に歯向かうか!」 とでも高飛車に言い放ち、我らに「殲滅せよ」と大号令を発するのではないかと考えるのだが…… 「君はどう思うかね、ドラゴンくん」 「知らねえよ! つうか、いきなり戦場で真面目くさって話し出したかと思えば――」 「確かに我が上司やフェルトママ、メリー様らは堅気の将軍ではないというか、皆さま特異な思考を持っていらっしゃる。しかし本当にネフィーに人望がなければ、あのお三方が従うはずもないし、我ら一般の兵士だってついて行かず、最初に滅んでいたのはネクロスだったはずだ」 私の召喚したドラゴンくんはそれまで一心不乱に敵軍へ炎を浴びせていたが、不意に私の言葉に目を見張り、深刻そうに振り返った。 「そんな事実はない。むしろ呆れた。おまえ、エライやつら全員愛称呼びとか、不敬にもほどがある!」 「何やってんの。左、火力弱いよ。さあ、次行ってみようー」 「るっせ! おまえが変なこと言うから気が散ったんだっての!」 「――というおふざけはここまでにして、今日はこんな企画を用意しましたっ!」
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