お笑い好きな召喚士の話

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「まずは、私の上司で唯一攻略方が分かっているアル中閣下から行こうと思う」 「好きにしろ。どうせ断られるのがオチだろうがな」 思いきり両の拳を握りしめて言う私に、ドラゴンはフンと小バカにしたように笑う。私はそれに顔をしかめる。 「ドラゴンくん、そこより私の『アル中』発言にツッコむべきだ」 「反応そっち!?」 「私が賢者から召喚士にジョブチェンジし直したのはツッコミ役が欲しかったからなんだから。その役目はきっちり果してもらわないと困るよ、ドラゴンくん」 「……おまえ、オレのこと戦力とすら考えてねえのかよ……!」 急に地面に崩れ落ちたドラゴンくんをどうにかこうにか引きずって、アルケイン将軍の執務室にたどり着いた。 執務室の扉の前では、アルケイン将軍直属のランカー・壊れた歯車の暗黒騎士が直立不動で番をしている。 「何か、久々に見るなあ……」 「何がだよ。直属ランカーが将軍の護衛してるのなんか普通だろうが」 いつの間に立ち直ったのか、呆れたと言わんばかりの顔のドラゴンに、私は苦笑を返す。 「いやいやいや。アルケイン将軍はヤムル平原を賜って以来、ずっと開墾してただろう?」 「そういや、献上する度にヤムルまで飛ばされたっけか」 「とにかく、アルケイン将軍はヤムルを葡萄畑にすべく昼も夜もなくヤムルを開墾し続けた。そのため少っしも! まっったく! 全っっっ然! ネクロス城に帰らず、通常業務をなさらなかった。だから、今日までこうしてアルケイン将軍の執務室にランカーさんがいるのを見なかったなあという話だよ」 「何だそれ。幹部としてどうなんだ、アルケイン将軍……」 「「だがしかしそこがイイ!!」」
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