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ドラゴンくんに力強く反論する声が、なぜか二つ重なった。
「え?」
ドラゴンくんは面くらっているが、私は構うことなく言い募る。
「アルケイン将軍はワイン狂いだからこそのアルケイン将軍!」
「そうよその通り! ワイン様からワインを取ったら何が残るっていうの? 寝言は寝てから言いなさい、このコモドオオトカゲ!!」
「マニアックなボケすんなよアンタ!」
「――と、いつまでもボケ倒してたららちが明かないので気を取り直しまして……。あなた、ランカーさんですよね?」
「ええ。自己紹介が遅れたわね。ワイン様直属軍・ワイン工場の工場長こと、不死工場の壊れた歯車、暗黒騎士のエリスよ」
「ご心配なく。ここまで私は地の文ですら名乗っていませんから。不死組所属、召喚士のユマです」
そして二人で握手を交わしている後ろで、ドラゴンくんは「直属のランカーにもその言われよう!」だとか「だからメタ発言すんなって!!」などと吠えていたが、あえて無視する。
「遠目に見ただけでは、あなたが女性とは思いませんでした」
「まあ。剣職は男だけ、という規則はなくってよ。うちの規則はワインに関することだけ」
そしてエリスさんはにこりとやわらかく微笑む。うん、美人だ。
「ユマさんは、ワイン様に御用がおありかしら」
「ええ。取り次いで頂けますか?」
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