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「え?・・・何故?」
承太郎さんは無表情のまま此方を向いている。
気まずい。
「君にとって、あまり思い出したくない記憶だろうが・・・六年前のあの日。覚えているかい?」
心に真っ黒い感情が吹き出る。
「・・・・普通、頭がおかしくならない限り忘れませんよ。」
「だろうな・・・いや、すまない。で、本題に入ろう。拓、君は六年前DIOに襲われた時、幽波紋が発現した。」
「・・・はい。」
幽波紋。DIOから逃げるがために発現した、あの能力。
ある種の超能力だ。
「君もあの日から成長した。自分で考え行動できる年齢になった、とは言っても君はまだ若い。」
承太郎さんが俺の顔をジッと見てくる。
「君の能力の使い方を、ちゃんと知るべきだ。周りに危害を加えないためにも、自分を守るためにもな・・・」
「はぁ・・・でも承太郎に迷惑じゃないですか?」
正直、嫌だ。
何日か知らんが、この人と二人きりなんて、たかが五分でも息が詰まる。
「大丈夫だ。」
承太郎さんは即答した。
「この間、生息地域の違う同種の魚の論文を書き終えてな、次はイルカの生体調査をしたいから沖縄にいく。君との訓練はついでだ。」
「は、はぁ・・・」
逃げれなかった
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