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「最後ってどういう意味ですか?」
バンクスは、ポリポリと頭をかく。
「えっとな……。
すげー言いにくいんだが、お前は一年後の入社試験に落ちたら、
もう二度と魔法使いには…なれない。」
沈黙が流れた。
俺はフリーズしていた。
こんな事を言われたら
誰でも固まってしまうに決まってる。
さっきまで、
何年たってでも
魔法使いになってやるって誓ったのに……。
俺にはもう一年しかないのだ。
「大丈夫かハルト?」
バンクスは、
モジャモジャのヒゲを
また指で絡める。
「だ、
大丈夫…じゃないです。」
「すまんな。
仕方なかったんだ!
これしかなかったんだ!だから、
俺はお前を絶対に魔法使いにしてやる!
だから泣くな。」
泣いてねーよ!!!!!!!
「師匠。
もしかして、
俺を魔法使いにしないとクビになるんですか?」
「ああ。そういう事だ。
お互い人生かかっちまったって事だな。」
何でこうなちまったんだ!
俺か?
俺のせいか?
俺が…元のバンクスを望んだからか?
やる気を出させたからか?
いや、
もしかしたら
アイシャについて行かなかったからなのか?
どれにしたって
理由は関係ない。
もう決まっちまったんだ。
俺はあと一年で
魔法使いに…。
立派な魔法使いにならなければいけないんだ。
「よしハルト!!!
頑張ろう!!!」
バンクスは右手を差し出してくる。
そうだよな…。
考えてたって何も変わらないんだもんな。
「はい!
頑張りましょう。」
俺は
バンクスの手を握り誓う。
絶対に立派な魔法使いになってやると。
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