立派な魔法使い

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それなのに何だよ! このやる気のなさは? 昨日のお前はどうした? バンクスよ。 「テメーさっきから 俺の事ナメてねぇーか?師匠を呼び捨てしすぎじゃねぇか?」 バンクスは器が小さいらしく、 ギャアギャアと騒いでいる。 「誰が器が小さいだ~?」 バンクスは、 拳をぷるぷると震わせている。 これ以上怒らせないようにしないと…。 「まあ、俺をナメるのは 仕方ない事なんだろうな。」 バンクスは 深いため息をつくと 今度は大きな欠伸をする。 「ふぁ~。 俺が悪かったよ。 すまんなハルト。」 珍しくバンクスは 反省をしている。 昔のバンクスは、 悪い事をしても 師匠だから何でも許せ的なヤツだったから 俺は少し驚いていた。 「まあ、過去は過去だ。 今日から一年。 頑張ろうな。」 バンクスはそう言うと、また大きな欠伸をした。 魔法協会と交わしたあの条件。 全てこちらは不利な条件だらけだった。 入社試験を受ける場所はリスナで、 もし落ちたら 俺は試験を受ける権利を永遠に剥奪され、 バンクスは職を失い、 もう魔法使いには戻れない。 そんな条件、 誰が考えても無理に決まってるいる。 まず、 リスナは世界に幾つもある魔法協会の中でエリート中のエリート。 バンクスでさえ、 5回落ちている。 まあ逆にいえば、 5回で済んだならいい方だと言える。 普通なら何十回落ちてもおかしくないぐらいなのだから。 次に、 試験を受ける権利を 永遠に剥奪。 これが俺にとっては 一番イタい。 立派な魔法使いになると決めた時から 俺は魔法の勉強しかしていない。 他の人生を歩むなんか、考えられる訳がねぇー。
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