立派な魔法使い

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親父はいつも言っていた。 自分は立派な魔法使いだったと。だから、お前も立派な魔法使いになれると。 そう言っていた親父だが、俺は1度も親父が魔法を使っている所を見た事がなかった。 いつもダラダラ過ごしては酒を飲み、あげくに騒いで寝る。 そんな姿しか見た事がないから、俺は親父の言葉を信じてない。 今は……な。 そりゃ、昔は信じていた。でも大きくなって俺は気づいた。親父の言葉が嘘だったと。 つまり、俺は………。 「出来損ないだな!」 「うっ!? 言わないでくださいよ。今、その事について、考えてたんですから!!」 「仕方ないだろうが! それに本当の事だろ?」 このモジャモジャとヒゲを生やした男は俺の師匠バンクス。 そしてその師匠が言った通り、俺は出来損ないだった。 親父の嘘を信じて立派な魔法使いになろうと決めたのに気付けばこの通り。見習い魔法使いと言っても魔法が一切使えないので、殆どただの人間と同じ。 親父を恨むしかないな。
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