立派な魔法使い

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とりあえず俺は、闇雲に小部屋から探す事にした。 俺にも魔法があったら、楽なのにな。 さっきバンクスがやった魔法で家具達が、普段ネズミがいるであろう場所を探している。 「はぁ~。」 俺は小さくため息をつきながら、部屋中を探す。 俺も魔法が使いたい! でも、俺はまだ魔法が使えない。 俺はいつになくそんな事を考えながら、また小さくため息をついた。 「きゃああああああ!!!!!!!!」 な、この声は!? 急に一階から叫び声がした。 その瞬間、俺は背筋に寒気を感じた。 ついにアイシャに見つかったか ……………ネズミよ。 俺は…… 本当は逃げたかったが…。 叫び声の方に駆け足で進んでいた。 広い廊下を抜けると、一階に続く階段がある。 俺は階段の手すりに乗り、滑り降りていく。 こっちの方が早く下につくのだ。 一階につくと、右から一番奥のアイシャの部屋に急いだ。 何とかして、アイシャを止めないと俺達の家が…。 いや命までもが消えてしまう可能性だってある。 ガチャッ。 「アイシャ!!!」 俺はアイシャの部屋の扉を開けて、大きな声で名前を叫んだ。 アイシャはベッドの上で小さくなってブルブルと震えていた。 俺は、その姿を見て不謹慎にもドキッとしてしまった。 やっぱりどんなに強くても女の子なんだと一人で納得した。 「アイシャ大丈夫だよ。ネズミは俺が退治するから。」 俺はそう言うと部屋を見る。 ………ん? ネズミなんかいないぞ。 すると、アイシャはクローゼットの方を指差す。 そこにいるのか!! 俺は、クローゼットの方にゆっくりと近づく。 気付かれないように、そぉっとな。 ここからクローゼットは、扉で死角になっていて見えない。 だから、ネズミの居場所がイマイチ分からない。 いた!!!! ネズミ…。 ………ん!? そこにはネズミもいたが 一番に最初に目に入ってきたのは………。 バンクスだった。 バンクスは、アイシャの下着が入っている引き出しを開けていた。 それを見た途端俺は、大きな勘違いが起きている事に気づいた。 そう。アイシャが大きな声で叫んだのも、ベッドの上で小さくなってブルブル震えているのも、すべて バンクスのせいだった。 バンクスは、自分のミスを深く反省しているらしく ただ固まっていた。
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