立派な魔法使い

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だけどバンクスは、 アイシャに嫌われたのと、 クビになった事により、 急にキャラが変わってしまった。 口は悪いけど、 真面目に教えてくれた、 あのバンクスは、 もういなかった。 酒を飲み散らし、 残っていた少ない賃金で借りたボロアパートの壁に穴は開けるわ、物は壊すわ。 凄まじい変わりようだった。 それほど、 ショックが大きかったのだろう。 俺は、 田舎から飛び出してきた身なので、住む場所はなかった。 だから、勝手にバンクスのボロアパートに寝泊まりした。 「何で、お前がいるんだ?」 バンクスは、 酔いが切れた時に、 俺にいつものようにそう言った。 「師匠の弟子だからですよ!」 俺はいつものように、そう答え返した。 「俺にはもう弟子はいねー!」 バンクスはそう言うと、右の手のひらを 俺に向ける。 「吹き飛べ!!!!!!!」 バンクスがそう叫ぶと、俺は凄い勢いで吹き飛び、 背中を壁で強打した。 痛い。 意識が飛びそうなくらい。 俺はフラつきながらも立ち上がった。 「俺は師匠の弟子です! だから、師匠のそばにいますよ!!」 俺は強くそう言ったのを覚えている。 それから、少し記憶がない。 バンクスに後から聞いた事だが、 そのまま俺は倒れたらしい。
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