第一章

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俺の家はその頃、借金が原因で両親が不仲になり、あっという間に家族は離散。 離婚が決まるとどちらが俺や兄妹を引き取るかで揉め、結局戸籍だけは父に引き取られはしたものの、“戸籍だけ”。 既に就職が決まっていた兄貴は連絡先も告げず家を出て行った。 妹は親戚に引き取られたが、二人も無理だと言われた俺は路頭に迷う羽目になり、友人の家を転々としていたが、段々とそれも苦しくなって来る。 断られることが多くなり、俺は一人になった。 学校に行けなくなり、街をあてもなくうろついては喧嘩をした。 喧嘩をすれば、類は友を呼ぶ。 いつの間にか、“そういう”奴らと連むようになり、倉庫に寝泊まりするようになった。 どっから入って来るのか、金にも困らなくなって更に遊び歩いては喧嘩をした。 そうして俺は、どんどん堕ちて行った。 人間、堕ちるのは簡単なんだ。 ただ、抜け出すのは自分の力だけでは難しい。 .
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