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どれくらい、待っただろうか。
この無限に広がる宇宙の中ではもう読書をする気にもなれず、足元にも浮かぶ星々の中、私はただ呆然と星を眺めていた。
不思議な気持ちだった。
落ち着くような、それでいて少し肌寂しい気持ち。
孤独を一心に受けるような……もしかしたら、シュラの見ている世界はこの世界なのかもしれない…とぼんやり思った。
だんだんと眠くなり、私は壁に頭をもたげて座ったまま瞼を閉じた時だった。
トン
という足音が響く。心臓が跳ね上がって、私は立ち上がった。
ランタンを持って、上を見上げる。
トン、トン……トン
上から、誰かが降りてくる音。
心臓が緊張でバクバクとはね上がった。
ランタンを持つ手が震える。
目の前に広がる宇宙の中、くらくら目眩がしながら、足音の者を待つ。
やがて、足元が見えた。
白い靴。細い足首。
「メテリアーナ……!?」
思わず口に出すと、足が止まった。
息を呑む音が聞こえたかと、パタパタと駆け足で降りてくる。
慌てたように、足を踏み外さないか不安になるほどの早足で。
ひざ下丈の青いシフォンのワンピースがふんわりと揺れる。
宇宙の中光輝く金色の髪。
「メテリアーナっ……」
思わず階段を駆け上がり、メテリアーナに向かって両手を出す。
強烈に輝く金色の瞳が私を捉えると、その唇が微笑みに変わった。
「イムナス!」
メテリアーナは何もためらう事なく、階段を降りきる前に私に向かって階段を飛び越えてきた。
耳に心地良い、高い艶やかな声。弾んだ息。
差し出した私の腕の中に、メテリアーナは飛び込んできた。
思わずぎゅっと抱きしめると、彼女も私の背中に両手を回して、ぎゅっと抱きしめてくれる。
潮の匂いと暖かな太陽の匂いが広がって、思わずメテリアーナの首筋に顔を埋めて思いきり息を吸い込んだ。
「夢じゃない?」
私が聞くと、メテリアーナは笑った。
体をゆっくりと離して、じっとメテリアーナを覗き込むと、メテリアーナの頬がりんご色に染まる。
「こんな美女が幻に見えるなんて、あなたの目は節穴?」
悪戯な瞳で私を見るメテリアーナの手を握った。
「いや……ごめん。その……」
言葉が見つからず、目を泳がすと、メテリアーナが笑った。
私の手を握り返して、言う。
「お帰りのキスは?」
「メ、メテリアー……」
「ね、キスして?」
こちらが返事をする前に唇を塞がれた。
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