言い訳

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  「くかー…」 真琴は学校の屋上で、1人で昼寝をしていた、筈だった。 「オイ起きろ」 屋上は誰にも邪魔されない、真琴のお気に入りの場所な、筈だった。 「起きろっつってんのが聞こえねェか?」 「は…?」 それが突然、無理矢理起こされたかと思えば目の前に現れた、自分に跨る上級生によって邪魔された。 ――確か、赤城とかいう奴だ。 真琴はまだ半分睡魔に足を引っ張られたまま赤城を見つめた。その名の通り髪の赤い赤城は、真琴の顔の横に両手をつき、真琴を真上から見つめるというより睨むに近い状態で、とんでもないことを言い放った。 「溜まってんだ。ヤらせろ」 「は?」 そして、真琴の制服のネクタイを手際良く外すと、頭上で手首を縛り上げる。 「え、いや、先輩、訳分かんないんスけど」 先輩と言ってみたはいいが、赤城と話をしたことはない。目立つ容姿故校内で見かけることはあっても、何の接点もない真琴にとっては殆ど初対面と変わらなかった。あんまり良い噂は聞いたことがない。所謂不良に近い存在だ。 まぁ、屋上でサボっていた真琴も同類だと言われれば否定は出来ないのだが。 「…外してくれないですかね」 漸く睡魔は真琴から離れていったらしく、状況が掴めてきた真琴はとりあえず逃げようと思って、手首を動かした。 「何で」 赤城は真顔で尋ねる。 「いや、何でって何すか」 「ヤらせろっつってんだよ」 「俺男ですけど」 「そんなん見りゃ分かるわ」 「じゃあ尚更やめるべきっスよ」 「あぁ?…ごちゃごちゃうっせェな…。もう犯るから。でけェ声出すんじゃねェぞ。分かったか」 「何様ですか」 「先輩の言うことくらい聞け餓鬼が」 理不尽にそう言った赤城は、制服を雑に脱がし始めた。  
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