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しかし、状況を鑑みるに相手を刺激しかねない言動はまずいと思ったのだろう。
近衛隊長が注意を促す。
「しかし……っ。……いえ、分かりました」
最初は反意を示そうとしたが、ほどなくして自分から過失を認めて態度を改める近衛兵。
他の者も睨みつけはしているものの、嫌悪の表情は努めて押し隠すことにしたようだ。
「沸点の低い奴らだ。人間時には我慢が肝要だと聞くぞ? 私はしないがな」
「魔王殿、それで相談というのは?」
当の魔王は気に触ったふうでもなくやたらと居丈高なまま。
そこで麗しい金髪が特徴的な彼――国王が話題を戻した。
「ああ、そうであった。お前の国に神とかいう奴のところへいく術具はないか? 美しい装飾が施された儀礼剣らしい」
「はあ……儀礼剣、ですか」
「はて」と何かを思い出そうとするように首を傾げる国王。
何かしら心当たりがあるようだ。
「おお! あるのか!?」
「つい先日宝物庫に奉納されたのが確か世にも美しい儀礼剣だったような……」
「宝物庫だな! じゃあもらっていくぞ!」
浮き足立った様子の魔王は場所を聞くや否や、飛んでいく。
ドカバキガッシャァァァァァァァン!!!
文字通り宙を舞って、進行上の一切合切をぶち壊しながら。
「出る時はドアから出ていけぇぇぇぇぇ!!」
瓦礫の山と化した王宮で、近衛隊長の叫びが木霊した。
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