第一章(仮題)

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「スンスンスーン♪ やはりここの奴らは話が分かる。他のところだとこうはいかないからなあ……っと。おお、あったあった」  国王と近衛隊長がうんうん唸っている頃、魔王は鼻歌を鼻ずさみ(?)ながら宝物庫を漁っていた。  どうやら目的のものが見つかったようだ。 「これか……」  魔王が無造作に掴み取ったのは、前情報通り儀礼剣だった。  黄金色に輝く刀身。柄に散りばめられた彩り豊かな宝石の数々。  誰もが目を奪われてしまいそうな美しさを惜しげもなく放っている。 「おーい。見つかったぞー」  魔王は儀礼剣から視線を外すと、山積みの宝に向かって声をかけた。  魔王が来た時は丁寧に整理されていたのだが、あとで片づける人泣かせなことになってしまっている。 「……見つかりましたか」  宝の山から突如生首が生える。そして少し間を置いて淡白な声。  生えてきた生首は人間のような顔をしていた。  人間に換算すると二十歳より少し若い女性だろうか。  黒曜石がはめ込まれたかのような瞳に、深い夜の闇を思わせる黒髪。  肩で切り揃えられた後ろ髪は、毛先を少し遊ばせている。
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