第1章 過去の敵を指宿で打つ

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 それと同時に、「追われる」ことの重圧も、いっそう強く感じられる。  昨年、優希、直樹は好成績をマークし、新人王を争った。しかし、それは居場所を安泰のものとしたということにはならない。  むしろ、これからは挑戦を受ける立場として、より一層の活躍を見せなければ、競争を勝ち抜いてはいけないのである。  ましてや、優希は直接、「宣戦布告」を叩きつけられているのだから。 「佐々木 優希さんには絶対負けたくないです。負けない自信もあります」  そうはっきりと言い切った総二。虚勢を張っても得はしないだろうし、そうでないことは明白だ。実際、超高校級投手という折り紙付きである。  もちろん、ストッパーの座を簡単に明け渡す気はないし、それだけの練習もしてきた。しかし、万が一でも、総二に負けるようなことがあったらどうなるのだろうか。  一年目はまぐれで、やっぱり失敗だったと未来に語り継がれるようになるのだろうか。
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