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地上にはクレーターが穿たれていた。
クレーターの中心には二人の男が倒れている。
――二人が二人とも両手両足を広げ大の字に倒れているのだ。
それも、二人折り重なった状態で、だ。
「………よぉ、生きてるかぁ?」
顔は土化粧にまみれ、服はズタボロの状態で折り重なった上の男が、下の男に語り掛ける。
既に声は瀕死の人間のそれでありながら、その声で発したセリフは悲壮感の欠片も無い。
「………………ああ。」
対する下の男も下の男で、同じようにズタボロでありながら悲壮感も、何も無い。
ただ聞かれた事を答えるのみだ。
「お前……こんな時まで愛想がねえなぁ……」
軽く口の端を歪ませる。
それは自嘲の笑みか。
己の弱さを嘲笑うのか。はたまた己の運命を笑うのか。
どちらかは定かでは無い。
おそらく、それは当の本人ですら分からないだろう。もう、笑うしか無かったのだ。
地に深く穿たれたクレーターから見上げたその先に。クレーターを真上から見下ろす、宙に浮いた二人組の圧倒的な力を目の当たりにしては……。
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