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「…いなりが三角…。」
「いいんだよ!キツネの耳は三角だろ?」
なんで、見ず知らずの奴と弁当を食べているのだろう。しかも少しメルヘンな奴と。
「…うまい。」
おどろいた。出来合いのアゲではなく、手作りの味がした。まめな親なんだろうな。
「こっちのもどうぞ。」
食べてみて自分が空腹な事に気がついた。考えてみたら稽古後、何も食べていなかった。
「…ごちそうさま。全部食べてよかったのか?母親の手作りなんだろう?」
すると、少年が又笑う。
「母親じゃなく、ぼくが作ったんだ!お父さんに教えてもらった。」
誇らし気に答える。こいつが、作った?自慢じゃないが、俺は飯も炊いたことがない。しかし、なんで弁当を持って、一人公園にいるんだ?
「…お前、なんで一人でいたんだ?最近、危ないんだろう?この辺り。」
今まで、笑っていた少年の顔が、一変する。
「…確かめたいことがあるんだ。」
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