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「確かめたい事?」
「うん。」
真剣な眼差しだった。
「…最近、子供が行方不明になってるだろ?」
「ああ。確か五人だろ?」
ふと、祖父さんの弓矢に眼をやる。
「あれ、僕の所為かもしれないんだ。」
悲し気に目を伏せる。
「何?…どういう事…」
言い終わるか否かに、突然キキッという甲高い動物の声がした。なんだ?
「あれ?猿だ。」
少年が、指をさした方向を見ると、真っ黒な猿がいた。しかし、何か様子がおかしい。
「こんな、街中にも猿っているんだ。」
無謀にも近ずこうとする少年の腕を掴んだ。咄嗟に自分の背中に隠す。
「なんだよ?」
本当だ、俺は何をしてるんだ?
「…おかしい。」
「何がだよ?」
頭の中で一つの答えが浮かぶ。
「俺は生まれた時から、この街にいる。…今迄猿が出たと、聞いた事がない。」
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