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キイキイとますます猿が、甲高い声で鳴きはじめる。唇がめくりあがり、鋭い牙が見える。
「あれは、猿じゃない。」
祖父さんの持っていた書物に載っていた。確かあれは。
「猾衷。」
「かつ…かい?」
「人の肉、とくに子供の肉を好んで食べるアヤカシだ。」
「アヤカシ?」
その言葉を聞いた瞬間、少年が、自分の腕を振り切り、猾衷の前に走りよる。
「逃げて!」
「お前!何を!?」
自分が囮になって俺を逃がすつもりか?
「アヤカシが、狙っているのは、僕だから。…だから。」
「危ない!」
猾衷が突進してきた少年を手で払った。少年は軽々と飛ばされ、近くの木にぶつかる!それをみた猾衷がにたりと笑い、少年に近ずく。これは、現実なのか?その時、頭の中に祖父さんの声が聞こえた
¨最近物騒だから、持って行きなさい。¨
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