築波ねの峰より落るみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる

10/11
前へ
/81ページ
次へ
 静少年が、決意をしていた頃猾衷は、ちかくの林を駈けていた  ¨オボエテロアノガキメ、キズガイエタラカナラズクッテヤル!¨  その時だった、猾衷の身体が何かに拘束されたように、動かなくなる。  ¨ナンダ?ナゼウゴカナイ!¨  「私の可愛い孫が食べられては困りますから。」  手に弓を構えた男の姿をみて、猾衷は生まれてはじめて狩られる立場になった事を悟った。    「静は私の矢のおかげだと思ったらしいが。」  たしかに少しばかりの気は入れておいた、だが、あそこまで、猾衷にダメージを与える事は出来ない。あそこまで深手を負わせたのは、静の力だ。  「先が楽しみだ。」  何もなかったように、百目鬼遥は、林を後にした。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

236人が本棚に入れています
本棚に追加