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「四月一日。百目鬼君の所にいきなさい。」
目の前にいる、妖艶な美女が、帰り支度をしていた、青年に言った。……ここは、なんでも願いをかなえる店。美女は店の店主 壱原 ユーコ。青年は、願いをかなえるために、店でアルバイトをしている 四月一日 君尋。…四月一日は、大抵女主人の言う事を聞くが、今回は違った。
「…おことわりします。」
なんで、俺があいつの所に行かなきゃならないんだ?
「……四方のお札。」
「はい?」
思いもよらない事を言われ、四月一日は、間抜けな返事を返した。
「百目鬼君のお祖父様が書いたお札、本の虫が食べちゃったでしょう?替わりを持って行ってちょうだい。」
はい。と言って小さな箱をユーコは四月一日に渡した。
「なんで、俺がアイツの所に行かきゃならないんだよ!」
文句を言いながらも、百目鬼の寺の近くまで来ていた。
「…そりゃあ、俺が持っていった、本のせいであんな事になったわけだし、でも、元を正せば百目鬼が本を借りたのが…でもそうなれば、本の持ち主のひまわりちゃんが、悪い事に…いやいや、ひまわりちゃんが悪いわけがあるか!やっぱり、本を借りた百目鬼が悪い!…でも、その原因を作ったのは……俺だよな…。」
蜘蛛に奪われた右目を取り返すため、百目鬼は、寝食を惜しんで、文献を調べてくれたのだ。
「…………!とにかく、お札を渡してすぐに帰ろう!」
足早にお寺の前に行くと、そこに一人の青年が立っていた。
「今晩は。四月一日君。」
「…遥さん?」
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