築波ねの峰より落るみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる

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 「静。お使いに行って貰えないかな?」  道場から帰ってきた俺に、祖父さんが言った。  「わかった。」  別に断る理由もないので、素直に頷く。すると祖父さんは、笑顔になると頭をがしがしと、撫でまわす。  「静は良い子だな。…そうだな、お礼に良いものをあげようか。」  意味ありげに祖父さんが笑った。  「…何故、近所に使いに弓矢を持っていかなければならないんだ。」  ¨私が、静ぐらいの時に使っていた物だよ?¨  お礼と言って、差し出された物は、古いが、良い造りの弓だった。  ¨それと、私が鍛えた矢だよ¨  はい。と言って、渡された矢は、一本だけだった。普通一本だけということは無いだろう。その上、  ¨最近、物騒だから、弓矢一式持って行きなさい。¨  と、いうわけで、使いの荷物と弓矢一式を持って家をでるはめになった。
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