現月夜

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 僕の部屋からリビングまではそんなに距離は離れていないのだが、それでも僕の体重をその身一つで抱え、僕と談笑を交えてながら、駆け足気味に走っても息一つ乱さない日向は流石だと思う。  これが、現日向。  僕の妹。  見た目とは裏腹に凶暴で、シスコンである。  身長は僕(165センチ程)と10センチくらい(一応弁明しておくけど僕が見下ろしている方)差があるその身体のどこにこんな力があるのかは謎だが、性格や力とは逆に、垂れ目がちの小さな体型は大人しそうなイメージを与える分、垣間見た時の凶暴性が余計に際立って見える。  少し、語るとしたならば、僕達がまだ小学生(僕だけ違う学校だったのだが)。それも低学年の時である。  日陰の友達が、悪ふざけで、日陰に虫(何の虫かは思い出せないが、何らかの甲殻類だったはずだ)を投げ付け、泣かせてしまったことがあった。  等の本人(日陰)がそれを許し、相手の子も謝って、無事解決したはずだったのだが、日向がこれにキレたのだ。  静止を促す僕の肋骨と左腕を折り、駆け付けた男性教師数名を病院に数週間寝泊まりさせるという馬鹿げた暴走を起こし、学校のマスコット的な存在から、見事なまでのランクダウンを果たし、一夜にして要注意人物に成り果てた。しかも、これを全て素手のみでやってのけたのだから恐ろしい。  ちなみに、この事件は日陰が日向を鎮め、日陰の友達は怪我無く無事学校生活を全うした。
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