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現月夜……それは僕の名だが、僕以外にもその名の人がいる。
それは、言ってみれば当たり前の事なのだが、名前というのは個人の持ち物であると同時に他沢山の人の……それこそ、不特定多数の顔も知らない人達でそれを共有していることにはならないだろうか。
土地や物、働く時や、ましては生きているだけで税金は生じるのだから、いつか遠い未来、名前にまでお金がかかる、という光景を僕が目撃は出来なくても、後の世代では当たり前のようになっているのかも知れない。
それは人によらず、その他全てに、だ。
例えば僕の家には猫が一匹居るのだが、その猫の名前を付けるとき、その時にすら、税金を要求されるかもしれない。
現影浦。猫の名前である。
さらに言ってしまうなら、姉と妹の、現日陰と現日向。毎日のように名を呼んでいるこの二人ですら、名を呼ぶだけで、少なからずとも税金を盗られるかもしれない。
それは、今、今現在思うと現実を覆す、非現実的な世界なのだろうけれど、日常ではなく、非日常なのだろうけれど、それでも、実際起こってしまえばどうってことない現実へと、日常へとなるのだろう。
これは、異常とは全くもって言えないほどの、ただの非日常、そして、日常なのである。
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