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「月夜くん、朝ごはんですよ。起きて来て下さい」
「兄ちゃん朝だぞ。飯だ飯だ!」
毎日のように聞こえる姉妹の声に、それまた毎日のように、いつものように僕は起こされる。
目を覚ますとそこは、いつもとなんら変化の無い僕の部屋であり、僕の家であり、僕の生きる日常だった。
一軒家の、広さにして八畳程の一人部屋は、高校二年生の僕にとっては贅沢と言われても仕方はないのかも知れないが、こんな暮らしをしているのにも理由はある。
理由……というのも的を射てはいないような気もするが、まぁ、とりあえずは理由といって伏線を張っておくのも悪くはないだろう。
すなわちそれは、今現在語る気は皆無ということだと理解していただきたい。
そっちの理由は眠いから。
一応、寝起きという伏線は張っておいたから大丈夫なはずだ。
バンバン――。
「おいこら兄ちゃん、起きろー!せっかく姉ちゃんがご飯作って下さったのに、部屋で堂々とおねんねたぁーいー度胸じゃねぇか。ドアぶち抜くぞコラァー!」
うん、まぁ……うるさい妹も来たことだし、そろそろ物語を始めようかな。
そう思い、誰にでもなく語らうようにして僕は、部屋の鍵を開けてドアノブを回し妹の待つ廊下へと出るのだった――。
――そうさ、立てたからな……、フラグ。
そしてそれは自然現象の如く、僕に降り懸かるのだった。
振りかぶった日向の右拳が僕の顔面へと。
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