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「あ……」
「あ?」
どちらともなく発したそんな言葉とともに、僕はもう一度夢の世界へと旅だって逝く。
「いや、兄ちゃん。格好よく語ってるけど、今の兄ちゃんめちゃめちゃダサいぞ」
そう言って、日向は僕が倒れる前に僕の胸倉を掴み、僕の頬えとビンタを繰り出した。
「お前はどんな鬼畜だよ。夢にくらい旅立たせてくれ……」
「夢より先に姉ちゃんのご飯だろ。今日から皆で同じ学校に通うんだからさ、しゃきっとしようぜ!しゃきっと!」
日向はそう言うと、僕をそれはもう米俵のように無残に担ぎ(仕留めた獲物のようにと言っても良いのかもしれない)、階段を下り一階、姉の待つリビングへと走り出した。
「…まぁ実際仕留められたしな」
「ん?なんか言ったかー」
「空耳だろ」
「あたし、それ久し振りに聴いたわ」
「古いか?」
「空耳に古いもなんもあったもんじゃないけどな」
「それは、確かにそうだけどな」
そんな僕と日向の会話は、一階のリビングに着くまで続いた。
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