序章

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扉には熊のネームプレートがぶら下がっていて、それは僕が彼女にあげたものだったりする。 「お邪魔するよ、奈緒。」 ガチャリと扉を開けて、立ち尽くす。 否、踏み出せないだけだろう。 人が居ない場所と言うのは空間として死んでしまうかの様に。 そこにあるのだけれど、無かった。 彼女が。 彼女の声や仕草が。 何もなく、ただあった。
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