序章

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行き交う人々は僕を訝しげに見ている。 それもそうだろう。 土砂降りとまでは言えないけれど、雨は強さを増すばかり。 そんな中で傘も差さず歩いているんだから。 「雨…か。」 不意に呟いてみる。 呟いた所で雨が止む訳ではないのだけれど、何となく言葉にしたかった。 空は鉛色を広げる。 晴れていれば、僕の心も少しは晴れたのかもしれない。 「阿呆らしい。早くおじさんの所に顔出して帰ろう。」 悪態をつきながらも、次の目的地へと歩を前にする。
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