ある理解の仕方

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 まったく自慢できることではないが、遥は好き嫌いが多かった。にんじん、ピーマン、なす、トマト、アスパラガス、グリーンピース、貝、レバー、卵、チーズ、納豆などのねばねば系、料理に至っては、ピザ、グラタン、ドリア、玉子焼きなど、挙げようと思えばいくらでも挙げられる。しかも、細かかった。  辛いものは好きだが、キムチは食べられない。甘いものは大好きだが、和菓子は食べられない。見た目も悪ければ食べられない……いや、食べない。  卵に関して言えば、ゆで卵は大丈夫だが玉子焼きは駄目。目玉焼きは黄身まで固まっていれば大丈夫で、半熟はいけない。  エビは刺身とエビフライは好物だが、それ以外は駄目だ。サラダやスープに入っていれば、即、親や兄弟の皿へ寄付される。  シーフードサラダなんてものは、遥にかかればただの海藻のサラダと姿を変えてしまうのだった。  とにかく、それほど遥は好き嫌いが激しく、そしてそれゆえの偏食家だった。  
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